2012年6月9日土曜日

ストラテジー本サマザマ

1.Winning Chess Strategy for Kids
 ストラテジーの勉強は後にしよう!なんて言っておいて、ちびちびと読んでいたWinning chess strategy for Kidsという本を読んだ。 題名の通り子供向けの本だ。子供向けといっても、「はい、これはポーンです!  はい!一緒に ポン!ポン!ポーン!」というようなリアル5歳以下向けとかではなく、いきなり結構考えさせるポーンエンディングがビシバシでてきたり、簡単ということはなかった。 

 最初はこんな子供向けの本はさっさと終わらせたいと思っていたが、読んでみるとそれなりに勉強になった。学習したポジション・ゲームは、全てchessbaseでデータ化したので、後でも復習できる。この本は、Dan Heismanのページでやたらと推薦されていたので買ったが、確かに「初めて」のストラテジー本としてはちょうど良いと思う。  また別の機会にもう少し詳しく紹介するかもしれない。

2.Back to Basics : Strategy
 WCSFKも読み終えたので、先日からValeri Beimの Back to Basics : Strategyを読み始めた。 これがスーパー面白い。 この本も題名通り基本的なストラテジーの要素について述べている。スタイルとしては、各テーマにつき、テーマに関連する象徴的なゲームの棋譜を紹介するというものだ。 選ばれているゲームが非常に魅力的で、ああチェスってこういうものなんだ、と思える。
 「ブランダーシナイ!ブランダーシナイ!ミスハダメ!ミスハダメ! ・・・ ア、ブランダーシテシマッタ! シューリョー! フザケンナ!! リザイン!!! ピー・・・」なんてチェスばかりしていると、さすがに嫌になってくる。 必要なこととはわかっているが、段々と、魚の小骨をとっているような気持ちになってくるのだ。

 最初の章が「展開」について述べられているが、ピースの力を集約して徐々に力を増幅させ、溜まりに溜まったところでぶっ放す妙技の数々が披露されている。テンカイテンカイと聞くが、こうやって実例を見ると、テンカイッテタイセツダナ・・・としみじみ思う。  アリョーヒンか誰かの棋譜を見たプレイヤーが、「アリョーヒンがやっているコンビネーションは私でも読める。しかし、私はそんなポジションまでもっていけない。」というようなコメントを残していたようないないような気がするが、タクティクスにしてもコンビネーションにしても、駒の協調性・ボードの支配そういった好条件が積み重ねられれば積み重ねられるほど発生可能性も増えるわけで、ただ待っているだけでは機会は訪れにくい。 それはわかっていてもなかなかできないものだ。 しかし、超人プレイヤーたちのプレイを見てハイクラスなチェスの世界を垣間見ると、やっぱりチェスって楽しい、と思わせてくれる。


3.音楽とチェス
 名譜を見ていると、上手くなればなるほど、自分の手を自らの意思に基づいた論理にしたがって打てるようになるのかもしれないという印象を受ける。 楽器でも最初は、ドレミファソラシドを弾くのすら難しいが、慣れれば段々と楽器が自分の身体に一体化し、自分の意思を音に伝えることができる。技術という形式があってはじめて自己表現が可能になる。形式が難解で強固であればあるほど、技術の乏しい表現は「表現」と呼ぶに値しない。技術の壁に阻まれて自己の意思を表現することができないからだ。ピアノを初めたての人がベートーヴェンのハンマークラヴィーア(Hammerklavier)を弾いて、自己表現なんて言っても馬鹿らしいだけだ。

 チェスと音楽を同列に語ることはできないが、チェスでも基礎的な技術を身につけ、チェスの論理を体得することができれば、「プラン」を通じて手に自己の意思を表し、「自分のチェス」ができるあがるのか。 この段階で初めて、短絡的に性格に依存するようなものではない、真の自分の「スタイル」が生まれるのかもしれない。


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